親族間から借入する場合の注意点。無利息借入は法的にOK?NG?

個人事業を営んでいる場合や、何らかの事情で大きなお金が必要になった場合、ほとんどの方はまず自身の親からの資金援助を考えるでしょう。

 

ましてや、最近の日本においては高齢者に富が偏っている状態ですので、両親がしっかりとした資産、たとえば1000万円以上の資産を有している方も多くいらっしゃるでしょう。

 

そのような場合、親族間、とくに両親からお金を融通してもらう場合には、税金に関する知識が必要不可欠です。

 

具体的には、そのお金の移動が贈与なのか、借り入れなのかを明確にしておく必要があります。

 

その点を不明確にしてしまうと、税務署から予想外の課税措置を受ける可能性があります。

 

まず押さえておくべきポイントは、たとえ親であってもお金をもらった場合、つまり贈与を受けた場合は、法律に基づき贈与税がかかるということです。

 

贈与税の仕組みについて、詳しくは国税庁ホームページを参照していただきたいですが、簡単に説明すれば年間110万円の基礎控除を超える部分については、贈与税を支払う必要があるというものです。

 

つまり、親からの援助が年間300万円であれば、110万円を超える範囲である190万円について、贈与税が課税されるということです。

 

なお、相続時精算課税制度という例外制度もあり、これは65歳以上の親が20歳以上の子供に贈与をする場合、2500万円以下の贈与であれば贈与税がかからないというものです。

 

ただし、この制度は例外的なものですので、原則として贈与税がかかることをしっかりと理解しておく必要があるでしょう。

 

贈与税はかなり税率の高い税金ですから、なるべく贈与税を支払わないような処理をしたいものです。

 

贈与税がかかるかどうかは、そのお金の移動が贈与契約という法的性質を有していると判断されることが必須です。

 

だとすれば、贈与税を回避するためには「このお金の移動は贈与契約ではなく、借り入れ、つまり消費貸借契約にもとづくものだ」という主張を税務署に対して行うことができればいいということになります。

 

ただし、民法上の消費貸借契約、具体的には金銭消費貸借契約であることを主張する場合にはそれなりの客観的資料が必要になってきます。
(その資料を税務署に対して提出することによって、「このお金の移動は贈与ではなく消費貸借契約である」という判断をしていただくためです)

 

この点、最も大切なポイントは、口頭だけで「貸した」「借りた」という事実を証明するのではなく、しっかりとした金銭消費貸借契約書を作成することです。

 

金銭消費貸借契約書が存在すれば、たとえ親族間、親子間のお金のやり取りであっても、贈与契約ではなく金銭消費貸借契約であるという認定をされる可能性が極めて高くなります。

 

金銭消費貸借契約書を作成する際の注意点は、できれば弁護士などの法律専門家の指導に従って、一つ一つの文言に注意をし、且つしっかりとした書面を作ることでしょう。

 

この点、たとえば原稿用紙や大学ノートに鉛筆で走り書きをして印鑑を押したような契約書よりも、弁護士事務所の正式な用紙を使ってパソコンで印字し押印をしたほうが、税務署に対するアピールになります。

 

あとは、印紙などの契約書実務にしっかりと乗っ取ること、無利息ではなく年利1%でもいいので金利を設定することなどが、金銭消費貸借契約であるという認定を受けるにあたっては重要でしょう。

 

というのも、現在の日本において無利息の金銭消費貸借契約というのはほとんど存在しないので、仮に利息の設定がない場合は「形式的には消費貸借契約だが、実質的には贈与である」という認定を税務署がしかねないからです。

 

利息は基本的にいくらでもかまいませんが、借り主の負担にならないように、年利1%から2%程度に収めておくことが重要です。

 

返済方法についても、具体的に設定することが重要です。

 

「任意の時期に返済する」という条項は最悪で、「毎月末日にいくらを返済する。振込口座はここで、振込手数料は借り主が負担する」などと明確に定める必要があります。

 

このあたりは弁護士に相談することによって解決できる問題でしょう。

 

以上、親族から借り入れをする場合の注意点を述べてきましたが、とにかく贈与税の負担を回避するために、金銭消費貸借であることを客観的に明確にしておくことが重要です。

 

今後親族からお金を融通してもらう場合には、決して贈与と認定されないことがように、契約書作成段階から弁護士に相談することを強くオススメします。